本物の手仕事と量産品の見分け方|4つのチェックポイント
本当に手作りされた陶器を見分ける手がかりの いくつかは、知らなければ簡単に模倣を見抜けないものでもあります。ここでは実際に 役立つ物理的なチェックポイントと、メーカーがそれぞれをどう模倣しているかを 説明します。
轆轤目を確認する
轆轤目(ろくろめ)は、職人が轆轤の上で粘土を引き上げる際に生まれる、器の 周りをらせん状に走る細い筋のことです。手仕事のもっとも分かりやすいサインの一つ ですが、もっとも模倣されやすい部分でもあります。確認すべきは筋があるかどうかでは なく、その間隔に意味があるかどうかになります。
本物の轆轤目は間隔が不均一で、部分によって広くなったり狭くなったりします。 これは職人の手の動きの速さや力加減が場所ごとに変わることの表れと考えられて います。これをまねた機械成形の筋は、上から下まで機械的にまったく同じ間隔で 並んでおり、型やローラーは人の手のように動きを変えないためです。
高台を確認する
高台(こうだい)は器が立つ底の輪の部分で、実際に轆轤で挽かれた器では手作業で 削られます。その削りには実際の痕跡が残ります。かすかな道具の跡、わずかに不均一な 縁、時には完全に水平ではない輪などです。量産品の高台はなめらかで均一、しばしば 器の他の部分よりも明らかにきれいすぎる仕上がりになります。これは型や機械で 成形されているためで、手で削られたものではありません。
この部分に、窯や作家の印が押されたり彫られたりしていることもあり、確認する 価値はありますが、下で触れる通り1つの注意点があります。
完璧さではなく、自然なばらつきを探す
手仕事の器は、小さいですが確かなばらつきを持ち、量産品にはこれがありません。釉薬は ある部分でやや厚く、別の部分でやや薄く溜まることが多く、完全に均一な層には なりません。重さや壁の厚みも、同じセットとして売られている中でさえ、器ごとに わずかに異なります。縁も、機械的に完璧な円ではなく、わずかに有機的な柔らかさを 帯びていることがあります。
これらは欠点ではありません。人の手による本物の証拠であり、逆に鏡のように均一な 釉薬、セット内で完全に同じ重さ、完璧に真円な縁こそが、欠点のない手仕事では なく量産品を見ているサインになります。こうした自然なばらつきをなぜ日本の陶芸が 特に大切にするのかについては、わび・さびの考え方が関わってきます。
窯印・銘だけに頼らない
窯や産地、作家の名を記した印や落款は、もっとも直接的な証拠のように感じられます が、実は単体ではもっとも弱いチェックポイントになります。印は広く模倣され、 世代を超えて使い回され、時にはその名前と無関係な作品に押されることもあります。 印は、轆轤目・高台・釉薬と合わせて重みづけする1つの材料として扱い、それ 単体を証拠と考えない方がよいです。
作家の署名が入った桐箱(共箱)が付属している場合は、単なる印よりも強い 証拠になります。特定の器と特定の作り手を結びつけるもので、印だけよりも気軽には まねしにくいためです。
複数のチェックを組み合わせる
どのチェックも単体では完全ではありません。メーカーは轆轤目のような分かりやすい サインを狙って模倣してくるためです。組み合わせることでまねしにくくなります。 不均一な轆轤目・手で削られた高台・自然な釉薬のばらつき・セット内の器同士の 普通の違い、これらがそろっていれば、どれか1つだけよりもはるかに強い判断材料に なります。絵付けのある磁器であれば、手描きの筆致と転写プリントの見分け方も あわせて確認するとよいです。
よくある質問
轆轤で挽かれた本物の陶器かどうか、どう見分けますか?
器の内側の轆轤目を確認します。本物は間隔が場所によって不均一で、職人の手の動きの変化を反映していると考えられています。機械的に均一な間隔の筋は、型押しの模倣のサインです。
高台から何が分かりますか?
手で削られた高台(こうだい)には、かすかな道具の跡やわずかな不均一さが残ります。機械成形の高台はなめらかで均一、器の他の部分より明らかにきれいすぎることが多いです。
窯印や銘があれば本物の証拠になりますか?
単体では弱いです。印は広く模倣・使い回されるため、印だけでは証拠になりません。轆轤目・高台・釉薬の様子と合わせて判断し、署名入りの桐箱(共箱)があれば単なる印より強い証拠になります。
同じセットの器なのに、なぜ少しずつ違って見えますか?
実際に1点ずつ手作業で作られており、重さ・壁の厚み・釉薬のかかり方に自然な個体差が生まれるためです。セット内のすべての器が完全に均一な方が、むしろ量産品らしいサインになります。
まとめ
本物の手仕事による陶器には、実際に確認できる証拠があります。間隔が不均一な 轆轤目、道具の跡が残る手削りの高台、機械的な均一さではない釉薬と重さの 小さなばらつきです。窯印や銘は参考にはなりますが単体では証拠として弱く、まねされ やすいです。物理的な証拠と合わせて重みづけして判断することが、確実な見分け方 になります。備前・信楽など焼き締め陶器の窯変も、一点物であることの証の一つです。 産地ごとの見分け方は六古窯とは?で紹介しています。